イベント運営及びマーケティングの仕組みをローコードで開発
NRI デジタルの萩村です。デジタルマーケティングを中心にお仕事させていただている、しがないエンジニアです。
先日、NRI デジタルは NRI と共同主催で「第2回 不動産業界におけるデジタル・トランスフォーメーションセミナー」を開催しました。>開催レポート
本記事では、このイベントのサイト構築やイベント運営のバックグラウンドについてお話したいと思います。
開発の背景
別記事でも書きましたが、私はオフラインとオンラインを横断したリアルデジタルマーケティングに取り組んでいます(前回記事)。
これを実際のイベントで実現してみようというのが、今回の開発の契機の1つです。
Webサイトから申込み(オンライン)→実際に来場(オフライン)→アンケート・資料公開(オンライン)、という流れでオンラインとオフラインを横断して分析を行いました。
SaaS をフル活用してローコードで開発
今回活用した SaaS とその用途は以下の通りです。
- KARTE:分析、コンテンツの出し分け
- Hubspot:サイトページ構築、申込フォームの構築
- SendGrid(KARTE 経由):参加登録確認メール、案内メールの送信
- Google スプレッドシート + Google データポータル:申込者一覧、申込み・来場状況の可視化
特にメインで使用した KARTE、Hubspot については簡単にご紹介しておきます。
■KARTE
ウェブサイトやスマートフォンアプリの顧客行動をリアルタイムに解析・可視化し、さらにポップアップやメールなど顧客に合わせた接客サービスを実行できるマーケティングプラットフォームです。
分析から施策までワンストップで、かつ、それを一人ひとりの解像度でできるところが素晴らしい点です。
■Hubspot
インバウンドマーケティングを実現するために米 HubSpot 社によって開発された、マーケティングとセールスのための統合ソフトウェアです。
成長過程にある企業が顧客を惹きつけ、信頼関係を築き、満足させることでスマートな成長を実現するフレームワーク、「インバウンド手法」を提唱しています。
今回は主に CMS を中心に利用しましたが、CRM 機能に加え、CMS、MA ツールなどの機能も充実。外部サービスとの連携やAPIも充実しており、良い感じに Hack も可能です。
全体の構成はこのようになっています。ポイントは、
- フロントエンドは Hubsppot CMS とフォーム機能を使って構築
- 動的にコンテンツの出し分けをしたいところは KARTE を使って実施
- 申込受付メールや直前案内メールは KARTE → SendGrid で送信
- データの可視化については Google データポータル利用
<システム構成>
図で書くと難しく見えるかもしれませんが、7割ほどは KARTE や Hubspot の管理画面より GUI によって設定しています(ノーコード!)。
また、Hubspot CRM からのデータ取得やユーザー毎の参加証(QRコード)表示などの機能はコーディングが必要でしたが、全部で200行くらいでサイト全体をゼロから構築するのに比べたら遥かに少ない開発量でした。
※専用アプリはゼロから開発しています。先述のリアルデジタルマーケティングの中で開発したものを流用しているので、今回の開発に含めていません。
データの可視化については、一旦 Hubspot や KARTE のデータを Google スプレッドシート、Google BigQuery に出力し、それを Google データポータルから参照する形で作成しています。
もちろんここもローコードで開発です!
(コーディングしたのは Hubspot からデータを Google スプレッドシートに抽出するところで、Google App Script で60行程度です)
デジタルマーケティングとしての機能
今回サイトの構築や申込者管理、受付などイベント運営を楽にできたのはもちろん良かったのですが、この仕組みで重要なのはイベントを通じてお客様を具体的に把握できるようになり、かつ個別最適なアプローチができるようになったことです。
具体的にいうと、今回のイベントでは申込んだ後に実際に来場したことやアンケートでどんな回答をいただいたかというのがお客様一人一人に対して細かく把握できている状態です。
これを活用して細かくお客様をセグメントしてくことで、例えば、
- イベントに実際に来場して、アンケートでも高評価だった方だけに限定のクローズドイベントを案内する
- イベント来場者が NRI デジタルの HP にアクセスした際に、このブログ記事をポップアップでお知らせする
- イベント申込したが来場できなかった人に講演動画をメールで案内する
といったアプローチができるようになります。
また今回のイベントに限らず、同サイトで次回以降のイベントも運営していくことで、同様にデータが蓄積していくため、より深くお客様の理解が可能になります。
まさにザ・デジタルマーケティングの世界ですね。
繰り返しですが、お伝えしたかったのはフロントエンドのサイト構築やメール送付などのイベント運営機能だけでなく、バックエンドでのデータ蓄積や分析といったデジタルマーケティングの仕組みをセットにして、かつ、それをローコストで構築できた、という点です。
おまけ
余談ですが、Microsoft の PowerApps や Google の AppSheet など「ノーコード」「ローコード」の製品はこれまで以上に強化・増加しており、コーディングなしでも開発できる環境が徐々に整いつつあります。
これについてもまた記事にしたいと思います。
外部記事ですがご参考までに。
本記事に関するお問い合わせ
NRIデジタル株式会社 担当 吉田・萩村・倉澤 marketing-analytics-team@nri-digital.jp