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Muse2(BMI)で脳波を測ってみた!

みなさん、こんにちは。
NRIデジタルの石井佑磨です。

NRIデジタルでは、CoE(Center of Excellence)活動として、新技術の探索・検証や先行事例の調査を行っております。CoE活動の一環として、ブレインマシンインターフェースの一つである、Muse2という脳波を測定できるデバイスを使ってみましたので、ご紹介をしたいと思います!

どんなデータが取れるのでしょうか!?

まずは、ブレインマシンインターフェースについてご説明いたします。

ブレインマシンインターフェースとは

ブレイン・マシン・インターフェース(以下、BMI)とは脳情報を利用することで、脳(ブレイン)と機械(マシン)をつなぐ技術のことです。
以下の表のように、BMIは大まかに入力型・出力型、介入型の3種類に分類されます。

分類 概要
入力型BMI 機械から脳に信号などの情報を送るBMI
出力型BMI 脳から機械に脳の活動によって得られる情報を送るBMI
介入型BMI 脳の情報処理に介入するBMI

また、BMIには侵襲式と非侵襲式がありますが、侵襲式は脳の表面や内部にBMIを埋め込む方式で、非侵襲式は頭部などの体の外部にBMIを取り付けて間接的に脳情報を得る方式です。
これらはブレインテックと呼ばれ、最近注目されています。

続いて、今回使用するMuse2についてご説明いたします!

Muse2とは

Muse2は、リアルタイムに脳波の状態を測定する、脳波センシング・ヘッドバンドデバイスです。
公式アプリを用いて瞑想を行うことで、フィードバックを得ることができます。そのフィードバックによって、ストレス軽減・睡眠改善・集中力向上が可能になるようです。

出典:Muse™ – Meditation Made Easy

機能

Muse2では、以下の4つの機能を提供しています。

  1. 脳波測定
  2. 心拍数測定
  3. 加速度測定
  4. 呼吸測定

これらの機能で、瞑想時の脳波や姿勢・呼吸を測定して、リラックス度合いなどをを推定するようです。

Muse2を実際に使ってみた

どのようなエクササイズをして、どのようなデータがとれるのかを公式アプリを使って検証していきます。
公式アプリをiphoneにインストール後に、Muse2とBluetoothでペアリングをして、瞑想をしていきます。瞑想は3分間で、瞑想中は雨の音がしました。

瞑想が終わると、3分間の瞑想の落ち着き具合?がActive, Neutral, Calmでグラフ表示されています。
私の場合は、残り時間1:14でスクリーンショット取得時にスマホを操作していたため、その時間(グラフの2:00前)にActiveになっています。

どのような脳波が取れているかはわかりませんが、落ち着いているかはしっかり計測できていそうです。

次に、実際に脳波データの取得をしていきたいと思います!

脳波データの取得

公式のアプリでは、脳波のデータが取得できないので、別の方法を調査しました。

Muse公式サイトによると、Muse2では、Muse DirectというiOSアプリ経由でクラウドに脳波データを送ることができたようなのですが、Muse Directは2020/05にAppStoreから削除されていました。現在、公式アプリ(Muse.Meditation & Sleep App)でデータを収集できるように開発中だそう。現状、公式に提供しているツールはないとのことでした。

Mind Monitorの導入

Mind Monitorというアプリを使用することで脳波のデータを取得できるという情報があったため実際にMind Monitorを導入しました!!
アプリを起動し、Muse2を接続すると、取得した脳波が表示されました。周波数別の脳波強度だったり、各センサーで取得した電圧が確認できるようです。

また、Muse2の加速度やジャイロスコープを取得できるようで、頭を揺らすとグラフが変化していました。脳波計測だけでなく、姿勢推定などもできるので、活用の幅は広そうです!

ちなみに、周波数別に脳波は以下のように分類されており、一例ですが、人の状態がわかると言われています。

脳波 周波数 状態
ガンマ波 30Hz< 高次思考
ベータ波 13 – 30Hz 覚醒状態(注意・緊張)
アルファ波 8 – 13Hz リラックス
シータ波 4 – 8Hz 瞑想・浅い睡眠
デルタ波 < 4Hz 深い眠り

本当に私の脳波が取得できているのか?と疑問を持ったので、以下の2ケースで脳波強度に変化があるかを実験してみました。

  • 全力でタイピングする
  • 瞑想する

実験結果は動画でご覧ください!

タイピング時と瞑想時で、デルタ波の動きが大きく違いますね!瞑想時のほうがデルタ波の強度が大きく変化しています。寝ているわけでないのですが。。何が影響しているのでしょうか。

また、瞑想時には、アルファ波の強度が大きいような!?

脳波データのエクスポート

では、本題の脳波のデータを取得していきます。

Mind MonitorでMuse2から脳波データを受信して、OSC(OpenSound Control)プロトコルを用いてOSCサーバに送信したり、DropBoxにエクスポートしたりできるようです。
今回はDropBoxに脳波データをアップロードしてみます。

事前にMind Monitorのアプリ上でDropboxのアカウント連携をしておき、右下の赤いボタンを押すことでレコーディングが開始され、再度押すことで、レコーディングが停止されてDropBoxにデータがアップロードされます。

ではアップロードされたデータを確認していきます。DropBoxにアクセスすると、mindMonitorのデータがありました。

データはCSVとなっており、時系列の脳波のデータと加速度やジャイロスコープまで取得できています!装着者の状態を推定するには、十分なデータではないでしょうか!?

まとめ

今回は、ブレインマシーンインターフェースとしてMuse2をご紹介いたしました。

遠隔でも装着者の状態などをモニタリングできそうですね。これまで実施していたABテストなどが、脳波によって定量的に評価できそうです。
脳波計測しながら、なにか作業すると脳波が連動して動くので、なんだか楽しくなります!ぜひ、みなさんも脳波計測してみてください!

他にも脳波を用いた実験してみようと思いますので、おもしろい結果が出ましたら、また記事にしたいと思います!

出典、参考情報
  1. Muse™ – Meditation Made Easy
  2. Muse Developers
  3. Mind Monitor
  4. 脳波とは何か? – 半導体事業 – マクニカ