仮説検証型 SaaS インテグレーションの取り組み | TECH | NRI digital
2020.10.15

仮説検証型 SaaS インテグレーションの取り組み

2020年9月に開催された Google SaaS Day にてSaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発と題して NRIデジタルの吉田が登壇致しました。本記事ではイベントでは語りきれなかった SaaS インテグレーションによるサービス開発手法を Deep Dive したいと思います。当日の様子はアーカイブ配信していますので上記リンクよりご覧いただけます。

事業開発における仮説検証の頻度と精度のマネジメント

NRI デジタルではお客様との価値共創、新たな事業創出に取り組んでいます。事業開発では Minimum Viable Product(=実用最小限の製品、以降 MVP)を用いてお客様に問うていき、仮説検証を繰り返すことが有効です。事業開発を進める上でのシステム開発チームの役割は、作るものを決めることよりも作らないものを決めることだと考えています。 事業の初期仮説の多くは間違っています。誤っている仮説から正しい仮説へとたどり着くまでは試行錯誤の連続となります。検証して仮説が間違っているとわかるまでの時間をいかに短くするか、正しく検証を行えているかがポイントです。仮説検証はデプスインタビューやタッパブルプロト等で簡易に検証できる場合もあれば、現地に赴いてのサービス提供や実際に決済・購入してもらった後のアンケートでしか評価することができない深い検証のケースもあります。事業開発においてシステム開発を行うチームには、仮説検証の頻度と精度のマネジメントが求められます。

SaaS インテグレーションは仮説検証の進め方を変える

SaaS(Software as a Serviceの略語。サースまたは、サーズと読む)とは、ソフトウェアをインターネット経由で月額の定額・従量課金サービスとして提供する形態のことです。国内の SaaS 業界は勃興期であり、様々なプレイヤーが登場しています。SaaS は業界横断型/Horizontal SaaS(マーケティング、営業、人事、経理等)と業界特化型/Vertical SaaS(小売、不動産、金融等)に大きく分けられます。

出典)Plug and Play Ventures SaaS Public 100

 SaaS を活用することでサービス提供までのスピードが上がります。従来は企画構想>事業計画>開発>仮説検証というプロセスを経る必要がありました。しかし、SaaS を活用することでいきなり本番サービスを提供し、仮説検証を進めることが出来るようになってきています。

出典)NRI デジタル SaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発

ただし、SaaS をインフラとして事業開発を進めていく上での課題があります。SaaS ビジネスは特定の領域・業界に特化して機能を洗練させていくビジネスモデルです。そのため、すべての機能を1社がカバーすることはありません。それゆえに SaaS で出来ないことを諦めざるを得ないケースが出てきます。この課題を解決するために重要になってくるのがサービス連携です。API(アプリケーション・プログラミング・インターフェイスの略)を公開しサービス同士で連携を行うことで不足している機能を補完していきます。NRIデジタルでは、複数の SaaS を組み合わせてサービス開発を行う SaaS インテグレーションに取り組んでいます。

出典)NRI デジタル SaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発

SaaS インテグレーションを行う上でのポイントは3つあります。
  1. SaaS を目利きすること
  2. SaaS を組み合わせて設計し、業務を成立させること
  3. SaaS を繋げる部品を少量のコードで実現すること
多くの素晴らしい SaaS を選べる中、組み合わせの相性や機能の重複に注意しながら構築を進めると良いでしょう。数行のコードで数倍のバリューを生み出すことが出来るのが SaaS インテグレーションの醍醐味です。

出典)NRI デジタル SaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発

SaaS インテグレーション事例

出典)NRI デジタル SaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発

それではここからは事例のご紹介と共に、SaaS の組み合わせパターンをご紹介します。マンション居住者へ生活サービスや物販、クーポンを提供するアプリのβテストを行いました。活用している SaaS は Shopify / KARTE / Hubspot / Data Portal・BigQuery / New Relic です。生活サービス EC ショップ上に、複数の SaaS を部品として組み込んだ構成になっています。各 SaaS の機能は以下のようになっています。
  • Shopify:EC
  • KARTE:CX Platform
  • Hubspot:CRM/CMS
  • Data Portal:データ視覚化
  • BigQuery:データ分析
  • New Relic:システム監視

なぜこの構成ができるのか

選定している SaaS が API を提供しているだけでなく、フォームやクーポンを部品としてコンポーネント化しており、Javascript タグを経由して配信が出来るようになっているからです。Shopify の EC サイトをベースにして SaaS の部品を配置して、Shopify の機能を増強しています。Shopify についてはテックブログ で解説記事を連載していますのでそちらをご覧ください。

SaaS インテグレーション Deep Dive

Shopify ✕ KARTE

KARTE はサイト・アプリに来ているお客様を可視化し適切なご提案が可能になるサービスです。企業のあらゆる部署を顧客目線に変革しCX(顧客体験)をより良くするプラットフォームです。 Shopify の CMS 機能を利用してベースとなるページを作成します。その上に KARTE の接客サービスでクーポンコンテンツを配信します。クーポンを一律で配信するだけではなく、KARTE のダッシュボードでお客様ひとりひとりを深く理解し、ひとりひとりに合わせたクーポンをレコメンドしていくことが可能です。 Shopify サイトに KARTE タグを設置する際には Liquid ファイルを編集します。計測タグ、ユーザータグ、コンバージョンタグ、カスタムタグ(閲覧商品、カート情報)を設置してください。プラスプラン以外ではチェックアウトページを編集出来ないため、チェックアウトの注文状況ページ(/thank_you)でタグを発火させてください。具体的には KARTE サポートサイトの Shopify への導入 ページにて Shopify へのタグ設置方法が詳細に解説されていますのでそちらをご覧頂くのが良いでしょう。

出典)株式会社プレイド提供資料より NRI デジタル作成

Shopify ✕ Hubspot

Hubspot は世界6万社以上で導入されているマーケティング&CRMサービスです。Hubspot は無料のCRMと複数の有償モジュールで構成されています。本事例では Marketing Hub, CMS Hub, Hubspot CRM を活用しました。 Hubspot は問い合わせや申込みのためのフォームを作成し、外部サイトへフォームを埋め込むことが出来ます。フォーム送信後にはフォローアップメールを配信することも可能です。今回はベースとなる Shopify ページ上に Hubspot のフォーム部品を配置することで予約申込やお問い合わせの機能を実現しています。 具体的な説明は Hubspot ナレッジベースの「フォームを作成する」「外部サイトでのHubspotフォームの共有」に詳細が記載されています。

出典)https://www.hubspot.jp/ よりNRIデジタル加筆

Shopify ✕ Data Portal・BigQuery

KARTE や Google Analytics で収集したビジネス分析のためのログデータは BigQuery に集約しています。BigQuery はビッグデータを解析できるフルマネージドのサーバーレスデータウェアハウスです。Shopify 上のユーザーの利用状況を分析し Data Portal でビジネス指標を視覚化します。Data Portal はダッシュボード作成、データ視覚化ツールです。Google Analytics や BigQuery とのデータ連携の相性が良いツールです。日次、週次、月次単位でのレポートを自動作成しビジネスの意思決定に活かしています。

出典)NRI デジタル SaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発

Shopify ✕ New Relic

New Relic は SaaS 型の可観測性プラットフォームです。アプリケーション、ブラウザ、モバイル、インフラ、全てのパフォーマンスを収集・判定・通知・分析が出来ます。従来のようにサーバーの中に閉じた構成ではなく、マルチクラウド・マルチ SaaS の利用が前提になるシステム開発では、運用監視の考え方を変える必要があります。New Relic はあらゆるデータを1か所に統合・測定し、ソフトウェアスタック全体を分析、トラブルシューティング、最適化することができます。 SaaS を組み合わせてサービス開発をしているため Javascript レイヤーでの監視と SaaS 自体の死活監視を Browser と synthetics を用いて行っています。トラブル発生時は Slack とメールにて通知が発報されるようにしています。本プロジェクトは毎週リリースを行っており、リリース前後でのシステムトラブルが発生していないかは New Relic を用いてチェックしています。

まとめ

出典)NRI デジタル SaaS インテグレーションによる DX ビジネス開発

SaaS を活用することでデジタルでの「お客様の観察」が早期に可能になります。スピード感のある SaaS を味方にして、インテグレーションしていくことが事業開発の仮説検証を助けます。今後も随時テックブログにて情報発信していきますのでお楽しみに。

本記事に関するお問い合わせ

NRIデジタル株式会社 担当 吉田・倉澤・萩村 and Developers 
marketing-analytics-team@nri-digital.jp
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