SPECIALIST

多様な専門性を持つNRIデジタル社員のコラム、インタビューやインサイトをご紹介します。

BACK

Alexa Champion に選出いただきました

こんにちは、はじめまして。NRIデジタルの松葉です。

私は2013年に NRI へ入社し、テキストマイニングソリューションの導入・カスタマイズ支援を経て、2017年から UX デザインの担当となりました。2019年4月からはNRIデジタル所属となり、引き続きお客様の新規事業立ち上げ支援等をさせていただいています。

そんな私ですが、この度 Amazon.com, Inc. より Alexa Champion として認定いただきましたので、こちらでご紹介させていただきます。

Alexa とは?

Alexa(Amazon Alexa)とは Amazon.com, Inc. が開発した AI アシスタントのこと。テレビでも「アレクサ、…」とスマートスピーカーに話しかける CM が流れていたりしますね。私はこの Alexa 向けのアプリケーション「Alexa スキル」をプライベートで開発しています。

Alexa Champion とは?

Alexa Champion とは、Alexa スキル開発者のコミュニティへの貢献を称える認定プログラムのことです。日本時間の2020年1月21日に新たな Alexa Champion が26人発表され、ありがたいことに私もその中の一人として選出いただきました。2020年1月21日時点では世界で64人、日本で4人の Alexa Champion が存在しています。

なぜ Alexa Champion に選ばれたのか?

まずは私がなぜ Alexa スキル開発を始めたのかということから順を追ってお話したいと思います。

Alexa スキル開発を始めた背景

日本でスマートスピーカーが普及し始めたのは2017年。その頃から我が家にはスマートスピーカーがありましたが、最初は夫が家電操作に使うのみで、私は興味を持っていませんでした。しかし「音声ユーザーインターフェース(以下、VUI)の波がこれからやってくる」という話を何かで耳にしてから興味を持つようになりました。

実際に調べてみると、市場はまだまだ小さいものでした。開発を始めた2018年末当時で、日本の Alexa スキルはまだ2000個。この大きさであれば今からでもアピールすることができるのではないかと思い、私は唐突に Alexa スキルを100個開発することを決めました。

スキル開発100チャレンジがもたらしたもの

Alexa スキルを3ヶ月で100個開発することを「スキル開発100チャレンジ」と名付け、Twitter 等で進捗報告をしながら開発を進めました。

この取り組みに対して、思った以上の反響がありました。そのとき既に Alexa Champion になっていた方や Alexa エヴァンジェリストの方からも応援いただき、多くの方が Twitter を通してメッセージを下さいました。結果、無事期限内に開発し終えることができました。

スキルを開発する中で心がけていたのは、いかにユーザーの習慣を楽にするか、便利にするか、より良いものにするか、という3つの視点でした。まずは自分の習慣に向き合うところからスタートし、英語の勉強に使えるスキルや、家族との関係をよくするためのスキル、ファシリテーションに関するスキルなどを開発しました。実際、私が開発したスキルの中には、月間6000人近くのユーザーに利用いただいている人気スキルも存在します。まだスマートスピーカーの保有率が少ない日本において、ユーザーを増やすことはまだまだ難しいもの。そんな中でもこれだけ多くの方に利用いただいているという事実が非常に嬉しく、またやりがいに繋がりました。

このチャレンジを達成したことによって、多くの Alexa スキル開発者に認知されると共に、VUI デザインの技術を磨くことが出来ました。後者は特に UX デザインの仕事と親和性が高く、その知見を VUI デザインに生かすことができたため、Alexa スキルのハッカソンなど複数のイベントにおいて表彰いただきました。この知見を Alexa 関連のコミュニティが開催するイベントでお話する機会も増えています。

Alexa Champion に選ばれた理由

Alexa Champion に認定いただくことができたのは、「スキル開発100チャレンジ」や登壇経験、各種アワード受賞などの実績が総合的に評価されたためだと思っています。またこの認定にあたり、何人かの方が推薦して下さったとの話も伺いました。この認定は、私の取り組みを支えて下さったたくさんの方々のおかげだと思っています。

最初はプライベートで開発していただけでしたが、今やこうやって会社のブログに書かせていただいたり、実際に仕事で関わることができたりと、大きな変化をもたらしました。

これからの時代に必要な「音声」

現代ではスマートフォンを利用することが当たり前で、その行為に違和感を持つ人はほとんどいません。対して音声については、他人がいる場で音声操作を行うことに羞恥心を抱いたり、違和感を覚えたりする人がまだまだ多いのが現実です。しかし、いずれ音声で操作することにも違和感がなくなり、脱タッチ、脱スクリーンのサービスが普及する時代が来ることでしょう。

より便利さを求め続ける人類が通る道の上で、VUI は不可欠だと思っています。特に料理中や運転中など、指示に従って体を動かし、目や手が拘束されるシーンでは、GUI よりも VUI の方が便利で安全であるのが事実なのです。また少子高齢化社会が加速する日本では、高齢者の見守りや会話相手の需要が増すことでしょう。その際にも、ロボットを含めた VUI が突破口の1つになると思っています。

またこれからの時代では、AI が既存の業務を代替することが増えていくでしょう。そんな中で受け答えを行うための手段となる音声は、非常に重要な役割を担うこととなります。そんな役割を正常に機能させるためには、ユーザー行動全体の設計と会話設計の両方を含む VUX デザイン(Voice User Experience Design)を考えていかなければいけません。

先日、ラスベガスで開催された CES2020 に参加してきたのですが、音声に対応しているプロダクトのあまりの多さに驚きました。日本にもこれからもっと VUI が浸透していくことを楽しみにしています。