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多様な専門性を持つNRIデジタル社員のコラム、インタビューやインサイトをご紹介します。

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NRId's EYE 宮前 英子

本質を突き詰めて、新たな価値を生む

ビジネスデザイナー
宮前 英子

曖昧な状況を形にしていた

NRIデジタルで仕事をする前は、テクニカルエンジニアとして、ソリューション分野の製品開発や事業企画に携わっていました。ビジネスデザイナーへの転身は、新しいものをつくったり、曖昧な状況を形にしたりすることが得意で、ゼロからものごとを生み出すプロジェクトによく関わっていたことが背景にあります。それに加えて、私はものごとの本質を突き詰めて考えるのが好きです。例えば、あるシステムを設計するときに、生産性を上げるには設計のやり方から変えるべきではないか、UXデザインのコンセプトがよくないのではないか、その改善にはマーケティングを考えるべきではないか――と、どんどん掘り下げる。そのうちいつの間にか、ビジネスデザインの領域で仕事をするようになっていました。

お客さまから求められた、本質を突き詰める議論

こうした本質を突き詰める姿勢が、最近関わった仕事で、役に立つことがありました。スマートシティの中で新しい生活行動を生み出すことをテーマにしたプロジェクトです。お客さまからは、その構想やサービス内容を考えるうえで、「答えが想像できる安易なコンセプトや、落としどころありきのサービスは要らない。人間がとらえる価値観やコミュニケーションのあり方について本質的な議論をまず行ってほしい」と要望されました。
お客さまから、着地点を決めず、まっ白な状態から本質的な議論を積み上げるよう求められたのは、私にとって初めての経験で、とても新鮮でした。とはいえ「このような考え方のサービスなら収益も得られるのでは?」と提案したところ、「落としどころありきのサービスを検討すれば、従来と変わらないものしか生まれない。それでは意味がない」と言われ、腹落ちしました。

機能の実装から、新しい価値を生むステージへ

このような思考の深掘りをしたうえで、お客さまのDXを支えていくことは、今後とても重要になるでしょう。数年前までは、DXといっても、既存業務をデジタル化するためのAIやIoTの実装にとどまっていました。やるべきことが明確で、ノウハウを切り出すスタイルでのサポートが多かったと記憶しています。
近年は、DX本来の意味である、デジタルの力で新しい価値を生み世の中を良くするという段階に進んだと感じます。それを実現するためには、本質を突き詰めたうえでの実装が不可欠です。NRIデジタルには、私と似たような考え方を持つメンバーが揃っており、未知の分野に挑戦する余力も備わっています。答えがなく、不確実性の高い状況下では、私たちはDX推進の稀有なパートナーになることができると思っています。

新しい選択肢と行動変容で、多様性のある社会に

今後のDXにおいて、ゼロから新しい価値を生みだす大切さを述べましたが、これに関連してぜひ取り組んでみたいことの一つが、社会価値の創出です。
現在の私たちは、安いか高いか、高品質か低品質かといった、経済価値に基づく選択肢でモノを買っています。そこに、例えば、環境負荷の低減や社会資源の最適分配といった課題にも配慮した選択肢を増やし、金銭だけに頼らない行動変容や商流を起こしていく。そうすれば、多様性のある、よりよい方向に社会が変わっていくと思います。
このためには、社会価値をインセンティブとした新しいマーケティング・アプローチを考える必要があるでしょう。また、複数の企業や業界と連携して、新しいビジネスや仕組みをつくることも必要です。深く掘り下げれば、アイデアはまだいろいろとありますが、ともかく今は、多様性のある面白い社会を目指して、お客さまと一緒にできることを愚直に進めていきたいと思っています。

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